高校野球・・きっと明日につながる

今年の春夏の全国高校野球甲子園大会が、コロナの影響で中止になり、これを知った全国の高校野球の球児たちの落胆ぶりは、テレビなどの報道で伺い知ることができた。

その日のために、朝早くから夜遅くまで血のにじむような練習をしてきた。「今年こそは」の思いを胸に、泥まみれになって磨いてきた力を見せる晴れ舞台だった。

しかし、その努力を発表する日は来なかった。

全国の球児たちの無念さは、高校野球ファンならずとも人々の心に響いてきたことだろう。こんな球児たちの野球にかけてきた純粋な思いに、何とか応えてあげたいと高校野球連盟が決断した。

春の選抜高校野球大会に選ばれた32校について交流試合という形で各校1試合のみ限定で甲子園球場で野球をすることができるようになった。

「あぁ良かったなぁ!」

大観衆が見守る中、1試合1試合勝ち進んで優勝を勝ち取る例年の大会には遠く及ばないが、甲子園のグランドに立つ事を目標に、厳しい練習に耐えてきた若者たちにとってその集大成とも言うべき舞台が整えられた。

テレビで試合を観戦していると、この許された1試合に彼らが野球と向き合ってきた時間のすべてをぶつけるように、全力で戦っている選手たちの姿に胸が熱くなった。勝敗を越えてこの一瞬を大切に悔いなく戦おうとする選手たちの思いが強く伝わってきた。

甲子園の広さ、土のにおい、照りつける夏の日差し、それらのすべてを体感し、目に焼き付けるように全力でプレーをしている。このほか全国の地域ごとに独自の大会も開催されている。甲子園で試合をしていなくても球児たちの思いは同じだと思う。

今年は全国高校野球甲子園大会が中止になり、そこを目指してきた球児たちが目標を見失ったことは、その若さゆえに相当な悔しさだったと思う。しかし、彼らが甲子園を目指し頑張ってきた時間は、今年の悔しさも含め彼らの貴重な体験となり、将来の彼らに新たな価値を生み出す時間をもたらしてくれるだろう。

きっと明日につながる!